アヒルと鴨のコインロッカー/伊坂幸太郎
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2003/11/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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紛れもなく青春小説であるこの話を、たとえば西尾維新が書いたらどうなっていたか? 西尾まで行かずとも、たとえば奥田英夫が書いたらどうなっていたか?
伊坂の飄々とした筆は相変わらずで、濃いはずの登場人物たちが妙に淡白に描かれている。洒落ていはいるし、変に力の入ったカッコ付けも感じないのだが、明らかに個性的な文章。また、ここで語られる〈青春〉の感触は、実際の大学生がヴィヴィッドかつリアルに感じているものではなく、大人になった人々が微妙にノスタルジーを織り交ぜつつ回顧する、いわば〈過去完了〉のものとして、色々な意味で甘酸っぱく美化されている。西尾維新とかだったら反発するでしょうね。
いずれにせよ、伊坂幸太郎の特異な感性でなければ成立しない、独特な印象を残す作品。仕掛けもなかなか面白い。
というわけで、
413 :名無しのオプ :03/12/02 23:08
伊坂が好きか嫌いかは、今まで英米の黄金期本格ミステリーやあるいは重厚なハードボイルド作品を読んでいた人が、プロットは凝っているけどミステリーとしては薄味のフランスミステリーを受け入れられるかどうかに似ているかもしれない。
などというコメントも、「やっぱこういう意見出たな」と思えるような出来に仕上がっている。
お薦めはできるが、ダメな人には徹底的にダメでしょうな。正直、私も本質的には合わない作家なんですけどね。