襲撃者の夜/ジャック・ケッチャム
- 作者: ジャックケッチャム,Jack Ketchum,金子浩
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2007/05/01
- メディア: 文庫
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またもや殺戮の嵐が吹き荒れる……のだが、殺害方法の描写がより残酷になっているとはいえ、『オフシーズン』で見せた、透徹とした筆致による《虚無》への洞察は弱まり、前作ではそもそも全否定されていたものが、『襲撃者の夜』ではある程度肯定的に捉えられる。すなわち、精神の強さ、人生の意義、そして生命の偉大さ。しかし『オフシーズン』を受けるには、これではあまりに軟弱過ぎるのではないか。
もちろん、今回も非常に酷い話ではあり、残虐性のみを求めるのであれば、十分以上に期待に応えてくれる力作ではある。また、上述の精神・人生・生命の肯定は、これはこれで味わい深く、素晴らしいものである。だが、恐ろしいほど洗練され蒸留されていた『オフシーズン』のような作品を期待する向きには、若干の失望をもたらすだろう。