レイン レイン・ボウ/加納朋子
- 作者: 加納朋子
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/11/26
- メディア: 単行本
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一人の仲間の夭折を契機に、ふと自らを振り返る彼女たちの姿は、本当に加納朋子の被造物らしく、善意に満ち満ちている。優しくて傷付きやすい反面、その不満の捌け口を他のものに求めない強さも秘めた人ばかり。時にそのあまりな性善説に抵抗を感じつつも、他人にお説教をかますなどの僭越な言動がないので、不愉快な思いをすることもなく、終始気持ちよく、味わい深く読める。
『コッペリア』でも感じたことだが、登場人物の年齢層、あるいは実社会という舞台環境のためか、ガキっぽい正義感などの影が薄く、等身大の〈大人の女性〉の視点が表面化しているも、いい感じ。
ミステリ的な趣向はいつもの加納朋子のもので、要するに日常系の謎と謎解きが見られる。家族間で客を取り合うのは避けるべきだと思うので、この傾向は彼女の人生を思えば歓迎すべきだろう。
今日はこんなところで。……にしても、我ながら本当に酷い文章ですな。やる気ないのが丸わかり。