サルビアホール・クァルテット・シリーズ タカーチ・クァルテット
19時〜 サルビアホール
タカーチ・クァルテットは、技巧的で力強く、まとまりも良く、そして熱い演奏を繰り広げる、素晴らしいクァルテットであった。白眉は後半のスメタナ。音による自叙伝という性格を帯びたこの曲にスメタナが込めた感情を、彼らは、過去ではなく今ここでヴィヴィッドに感じているものとして極めて生々しく表出。第一楽章の青春の苦悩も、第二楽章の若さの喜びも極めて鮮明。そして第三楽章の妻への愛は、落ち着いた愛情ではなく燃え盛る恋慕として描かれた。そしてあの残酷なフィナーレのコーダ! この曲にここまで感動したのは初めて。
しかしアンコールのモーツァルトでは一転して、軽やかなハーモニーで美しく一夜の邂逅を締めてくれました。これぞ音楽、これぞ弦楽四重奏。堪能いたしました。