不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

フェスタ サマーミューザKAWASAKI 2012 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

19時〜 洗足学園前田ホール

  1. ドビュッシー:おもちゃ箱
  2. ムソルグスキー(ゴルチャコフ編):組曲展覧会の絵

 実は東京シティ・フィルはこれまで一回しか聴いたことがない。飯守泰次郎指揮で《未完成》と《グレート》を、狛江で聴いたのが唯一の機会である。買い物帰りの母ちゃんどもがガッサガサビニール袋をいじる中、会場を走り回るクソガキどもがうざいことこの上なかったことを覚えている。演奏はなかなか良かったような気がするが、当時はまだそれほど演奏会に行っていない頃だし、肝心の演奏に対する記憶も曖昧である。在京プロオケ中、メカニカル面で一番弱いようなイメージが強い団体なんですが、今実際に聴くと、果たしてどう感じるか……。
 まず、とんでもなく勢いが良い。アインザッツの揃い具合や管楽器のソロのニュアンス付けには、やはり在京オケの下位だなと思わされる弱さはあるのだが、指揮者と一丸になって前進する演奏を披露。音楽的には大変充実していたと思います。ここは指揮者の解釈だろうが楽想も結構えぐる。実は矢崎彦太郎は今日初めて聴いたのだが、フランス音楽が得意という定評にもかかわらず、意外やオーケストラをがっつりと鳴らしますな。土俗性をオーケストレーションの段階から強調したと思しいゴルチャコフ編の《展覧会の絵》はもちろん、ドビュッシーもカロリー満点、横の流れとしては前傾姿勢を取りつつどっしりと鳴らしていたのが印象的でした。ところで中井美穂さんには何も含む所はなく、いやそれどころか彼女はグッジョブだったと思うんですけれど、《おもちゃ箱》はナレーションが入る度に音楽の流れがぶった切られて具合が悪かったと思われます。
 それにしても会場の入りが酷かったな。5割程度だったんじゃないかしら。平日19時に溝の口はやはり厳しいか……。