オーケストラ・アンサンブル金沢第29回東京定期公演
19時〜 サントリーホール
- ギョーム・ヴァンサン、田島睦子(ピアノ)
- オーケストラ・アンサンブル金沢(管弦楽)
- マルク・ミンコフスキ(指揮)
オーケストラ・アンサンブル金沢(以下、OEK)を生で聴くのは実は今日が初めて。いいアンサンブルが聴けました。あと外国人の団員が結構多いですな。
それはそれとして、本当に音がふわふわであった。ニュアンスにも満ち溢れていて、とんでもなく変なことはしないが、ちょっとしたアクセントや加減速付けたり、同じテーマが再帰して来たら微妙に表情を変えるなど、芸が細かい。実にミンコフスキらしい音楽作りと思った。いや彼を実演で聴くのはこれが初めてなんですが、録音ではそれなりに聴いているわけよ。で、クルト・ヴァイルの交響曲第2番は、諧謔に満ちつつもシリアスな曲調なんですが、彼が振るとまるで「短調のハイドン」みたいな感じになって実に興味深い。そしてもちろん、20世紀の音楽だけに音色のパレットはハイドンら古典派に比べると段違いに多いわけで、古典派とはまた違った楽しみ方ができます。こういう演奏が増えたら、ヴァイルその他この時期のこの手の交響曲は人気が高まるんじゃないかなあ。
プーランクは、ふわふわの音を出すオーケストラが、曲想に沿って、本当に楽しそうな音楽を全開にする(ただし音量は抑え気味である)中、ヴァンサンと田島さんのこれまた可愛いピアノがしっかりと音楽の一パーツとして嵌る、という感じ。協奏というイメージは後退して、ピアノ付き管弦楽曲というスタンスでの演奏だったと思うんですが、いかがでしょうか一緒に聴かれた皆さん。
そして白眉は後半のマ・メール・ロワ! 可愛くて美しくて繊細で、密やかで、活き活きとしていて……。俺がこの曲に求める全てが実現されていたかもしれない。最後は指揮者が手を満足気に降ろすまで拍手が出ませんでした。客席は7割から8割程度の入りだったと思いますが、その分、曲か演奏者を愛する人が集まっていたような気がいたします。うん素晴らしい演奏でした。