不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

フランチェスコ・トリスターノ ピアノ・リサイタル〜Piano Impossible!〜

19時〜 銀座ヤマハホール

  1. ベリオ:セクエンツァ第4
  2. フレスコバルディ:トッカータ第2集より第4番、第9番、第8番
  3. フレスコバルディ:トッカータ第1集より第8番、第1番、第11番、第12番
  4. フランチェスコーニ:マンボ
  5. トリスターノ:マンボ
  6. トリスターノ:Nach Wasser noch Erde
  7. メッシーナ:Radio hat music(世界初演
  8. 武満徹:フォー・アウェイ
  9. フレスコバルディ(リミックス:J.メッシーナ)/トッカータ 第2集より 第8番※
  10. D・スカルラッティソナタ ト短調K.450、ソナタ ト長調K.13、ソナタ ニ短調K.141、ソナタ ニ短調K.32
  11. トリスターノ:La Franciscana (世界初演)
  12. 【アンコール】トリスターノ:Eastern Market

 プログラミングが非常に独特(バロックとモダンの組み合わせである!)なトリスターノ、今年も来日してくれたので行って参りました。ちなみに本日が銀座ヤマハホール初体験。ガサガサ音を立てる高齢者の客が複数いたのは残念でしたが、会場の響きそのものは上々。ただしホワイエ等はちょっと狭過ぎるかなあ。場所柄、土地がなかったのでしょうけれど。
 フランチェスコーニの《マンボ》までが前半。で、後半はピアノの音はマイクで拾い、キーボードも用意してそっちも弾いてました。事前に録音しておいた音楽を流して、それに併せて生で弾く、といった芸当も披露してましたな。スカルラッティではそれはさすがになかったが、マイクとスピーカー使って音をでかくしていた。
 トリスターノは自分の世界を持っているピアニストで、本日は昨年のバッハ&ケージのツアー以上にそれが炸裂していました。前半はクラシカルなスタイルでのリサイタルでしたが、電子機器類を導入しての後半のノリは完全にテクノのそれ。後半から振りかえると、前半はベリオのセクエンツァやフランチェスコーニも含めて古典音楽だと実感される。そして恐らくトリスターノの中では、バロック音楽と(クラシック音楽的な意味合いにおける)現代音楽、そしてテクノがフラットに繋がっているのでしょう。そして確かにそれはある意味正しいようにも思われます。古典派やロマン派をこのプログラムにぶち込むと、色々狂うなあ。彼にとって、音楽とは「自分の世界」を披歴するためのものであるが、決して「自分の感情感性」を示すものではないのかもしれない、などと思いながら聴いておりました。次の来日は来年2月ですかな。王子ホールでは何を弾くのかしら。