不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ル・プロジェ エマール 1 ―リスト生誕200年を記念して

19時〜 トッパンホール

  1. リスト:悲しみのゴンドラ(第1稿) S200/1
  2. ワーグナー:ピアノ・ソナタ 変イ長調 《M.W.夫人のためのアルバム》
  3. リスト:灰色の雲 S199
  4. ベルク:ピアノ・ソナタ Op.1
  5. リスト:不運! S208
  6. スクリャービン:ピアノ・ソナタ第9番 《黒ミサ》
  7. リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S178

 全体としてはちょっとピンと来ない演奏会だった。もちろん演奏は切れ味鋭く、しかしそれ一辺倒ではなく、ベルクやリストの後期作品では紛れも無くロマンティックな味付けも為されていて、いい意味で驚かされました。速弾きの箇所を中心としてかなりメカニカルな挙措が目立った部分もあって、特にリストのソナタではそのシーンとロマンティックなシーンが恐らく故意に対置されて非常に面白かったのだが、どうにもこうにも乗れなかったのである。響きそのものがあまり美しく聞こえなかったのがその最大の要因。楽器の調子が悪かったのかしらね。なおエマールはアンコールを多く弾くことでも有名な演奏家ですか、当夜はアンコールそのものがありませんでした。舞台への出入りのときにちょっと鼻をすするような動きもあったので、体調が悪かったのかもしれません。