サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団来日公演(横浜公演)
14時〜 横浜みなとみらいホール
- ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調op.18
- (アンコール)ショパン:マズルカ イ短調
- チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調op.64
- (アンコール)エルガー:愛の挨拶
- (アンコール)チャイコフスキー:バレエ音楽《白鳥の湖》より《小さな四羽の白鳥の踊り》
- ルーステム・サイトクーロフ(ピアノ)
- サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団(管弦楽)
- ユーリ・テミルカーノフ(指揮)
サイトクーロフは極めて硬質なピアニズムの持ち主でしたが、力押しという感じはなく、楽想に対してかなり俊敏/鋭敏な反応を示していました。一方のオケは大変ソフトな音を出しており、ラフマニノフのこの曲に聴き手がよく求めがちのロマンティックなアトモスフィアは、概ねオーケストラが担っておりました。じゃあソロと伴奏がミスマッチだったかというとそんなことは全くなかったのが面白い。ピアノという固いコアを、オーケストラがソフトに包み込むという構図で、これはこれでなかなか美しく、かつお似合いであったように思われます。音出しのコンビネーションそのものも良かった。ただし、演奏終了後は、サイトクーロフはオケに対してそこまで感謝を示さず、オケもそれほど拍手していなかったのは、まあそういうことなのかも知れない。もっとも、これは1日の庄司沙矢香に対しても同じなので、このオケの慣習なのかも知れませんです。日本のオケはNHK交響楽団以外、こういう時はかなり熱狂的に拍手等するからなあ。あと、アンコールのショパンでは、本プロと対照的に、サイトクーロフはそれなりに雰囲気出してました。リサイタルで一度聴いてみたいな。
後半は「お手の物」を「最高の形で」提示されてしまったという印象。恐らく故意に、絶妙にずれしたクラリネットと弦の序奏から始まった交響曲は、全ての楽器が渾然一体となって鳴り響きつつ、雰囲気たっぷり、音の中身もたっぷり、そして迫力も繊細さも満点というほぼ完璧な演奏が繰り広げられました。こういうの聞かされると、本当にもう何も言えなくなるんだよな。多少のポカはあったが、まあ物の数ではないでしょう。素晴らしいオケ、そして素晴らしい指揮でございました。第二楽章とフィナーレにクライマックスを築いていたのが印象的です。
アンコールは《ニムロッド》かな、と思いましたが予想に反してこの二曲。どちらも華麗で素晴らしかった。これまた満足。客も沸いており、横浜のお昼公演にしては珍しく、一般参賀が1回ありました。テミルカーノフは非常に機嫌がよさそうで、両手でガッツポーズしてらっしゃいました。また来てね。