読売日本交響楽団第503回定期演奏会
19時〜 サントリーホール
原発をものともせず、常任指揮者もゲストのピアニストも予定通りやって来ていただいたことに感謝。ちなみに本日のコンマスはノーランだった。コントラバスにも外人団員がいらっしゃいました。オケ内のこのお二人にも感謝。
名曲プログラムと言っても当たらずと言えど遠からず、という感じの今シーズン第一回目の定期演奏会だが、恐ろしくエッジの立った表現で一貫し、あらゆるパートを明晰かつスマートに聴かせて、聴き手を全く飽きさせず、かつ胃もたれもさせない。パートを分離させて聴かせた後に再ブレンドするとかには興味なさげだったし、メロディに耽溺させたり濃やかなニュアンスを付ける芸風でもないので、特に前半は若干食い足りない部分も残りましたし、オーケストラ側には特にプロコフィエフで、各パート内部での出来が十全ではない部分も散見されましたが、テンションが終始高く、一気に連れ去られたように思います。ムラロのピアノも、ニュアンス付けよりは確固たる美音で一気に聴かせるタイプの演奏だったのでオーケストラにマッチ。とはいえ、後半の左手では、オーケストラもピアニストも深刻な音楽を作っていて、圧倒されました。素晴らしかった。《ボレロ》における、実に鋭利なサウンド&ハーモニーと、実に微細な音量操作も印象的でありました。カンブルランは《ボレロ》に関して、楽想の繰り返しに日常の積み重ねを、ラストに破滅を見ているとインタビューで答えていましたが、それも納得の真剣な音楽になっていました。概ねたおやかに進んだ大友直人&東響とは本当に対照的。私はどっちも好きです。
正直、一番素晴らしかったのは最初のメシアンでしたが、まあそこはそれ。大満腹の演奏会にてシーズンの劈頭を飾っていただいたことを、感謝申し上げるべきでしょう。やはりカンブルランは只者ではないです。
ところで3日連続してサントリーホールに詣でたわけですが、余震を恐れてのことでしょう、ステージ真上の反響板が天井間際まで引き上げられていて、ホールの響きがかなり変わってます。従来に輪をかけてお風呂になってしまった印象。うむむむこれは困った。早く正常化せんかのう。或いは、地震が来てもぶら下がった反響板が大きく揺れないような手立てを考えるとか。