不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

NHK交響楽団第1686回定期公演

15時〜 NHKホール

  1. マーラー / 交響曲 第2番 ハ短調《復活》

 終楽章はずっと「ピー」という音が小さくこだましていた。あれは多分補聴器だな。モスキート音気味だったので、高齢者が多めのN響の演奏会では、周りの人間も感知できず、結果として誰も注意できなかったんでしょう*1。残念なことであります。加えて、終盤にかけて客席からの咳やくしゃみが次第に多くなって行ったのは興味深い。もうそういう季節なんですなあ……。休憩がなかったので、1時間超えるとキツくなって来る人も多いんでしょう。最近私も歳をとってきたためか、長時間じっとしていると、本当に微妙なところでの体調により、喉の粘膜が段々乾いて来るんですよね。若い人にはそれがわからんのですよ。
 さて演奏。85分ぐらいかかってたな。基本テンポはこころ遅いぐらいだったが、ピンポイントで極端に間を空けたり粘ったり音を伸ばしたりするんで、トータルの演奏時間は長めになったというところ。特に弦セクションが柔らかい良い音色を聴かせてくれ(第二楽章は実に素晴らしかったと思う)、管も打も含めてオケの鳴りはなかなか良い。楽曲に対して非常に大きく構えており、フィナーレにクライマックスを設定し、そこに向けて盛り上げて行こうという志向が顕著であった。いや元々そういう曲と言われたらそれまでなんだが、壮大な音響絵巻を提示してくれた。腹にズシリと来る重厚なサウンドは、さすがNHK交響楽団といったところ。
 ただし、ところどころの仕掛けが今一しっくり来なかったのも事実。フィナーレの打楽器のクレッシェンドを凄まじく伸ばしていたのは明らかにやり過ぎで、退いてしまったことを告白したい。加えて、指揮者が要求する抑揚がやや大袈裟で、N響の特徴としてのリズムの重さも相俟って、クライマックスがどうも鈍い。合唱が粗雑だったことも付言しておきたい。
 というわけで総合的には、あまり良い印象を持たなかった。オーケストラも指揮者も、そしてソリストもそれぞれ頑張っていたと思うんだけどなあ。

*1:「大編成の大曲のそれも最終楽章なんてずっとやかましいんだから聞こえないだろwwww」と草を生やすにわかがいてはいかんので付言しておくと、聴けば一発でわかる通り、結構弱奏部分が多いうえに続くんである。そこでアレは目立つ。