NHK音楽祭2010 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
18時〜 NHKホール
- ドロテア・レシュマン(ソプラノ?)
- エリーザベト・フォン・マグヌス(ソプラノ?)
- ベルナルダ・フィンク(アルト)
- ミヒャエル・シャーデ(テノール)
- フロリアン・ベッシュ(バス)
- アルノルト・シェーンベルク合唱団(合唱)
- ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス(管弦楽)
- ニコラウス・アーノンクール(指揮)
美しいフォルムと美しい合唱で綴られた、淡く儚い慰安の調べ。むろん盛り上げるべきところは盛り上げ、楽しげにリズムを弾む場面もあるのだが、それらは悉く長くは続かず、すぐに幽玄の世界に戻って行く。全曲通して美しく提示された救済はあまりにも儚く、脆い。救済には過酷な現実を越える力などないと言っているかのように。
シェーンベルク合唱団、アーノンクールの繰り出す細かい指示に完全対応。ニュアンス付けがとてつもなく精緻でびっくりしました。出て来る音そのものはスウェーデン放送合唱団の方が綺麗だと思いますが、こっちは指揮者の演奏方針にぴったりと寄り添う趣が強く、これはこれで素晴らしい合唱団だと思う。コンツェントゥス・ムジクスも素晴らしい。アーノンクールの指示に細かく対応するのは陶然として、音そのものが実に雅。あの巨大なNHKホールでも、古楽器ならではの味わいをしっかりホール隅まで飛ばし、ニュアンスすかすかという事態を回避。管中心に若干の瑕が見受けられたが、それらも「儚さ・脆さ」の味をむしろ強めていたのが印象的である。ただしホルン、おめーは駄目だ。あれは酷かったな。
というわけで、本当に素晴らしい演奏会となりました。これが最後の来日と言わず、せめて後1回ぐらいは来ていただきたいものだが……。