不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

這いよれ!ニャル子さん/逢空万太

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)

這いよれ! ニャル子さん (GA文庫)

 遂にクトゥルー神話体系にも萌え化の波がやって来た。恐ろしいことである。クトゥルーの神々は実際は《宇宙人の種族名称》であるという整理が成され、微妙にSFになっている。とはいえ原典そのものが微妙にSFだからこれは当たり前か。
 一作目の本書は、まずは成功を収めていると言ってよいだろう。寒いと言われることを恐れず、高いテンションで機関銃のごとく撃ち出されるパロディの数々は、単純に笑えるからだ。パロディの元ネタはクトゥルーに限らず、多岐にわたる。ここまで思い切って、それでもなおある程度まとまっているパロディ小説はあまりない(絶無ではなかろうが)のだから、一定の評価は与えるべきだろう。
 問題は第二弾以降をどうするか(そしていつまで続けるか)である。来月出るらしいですが……。このノリは基本的に単発もの向けだと思うんだよなあ。息切れしていないか心配です。