不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ハイドン・プロジェクト“ロンドン・セット”全曲演奏会第2回

すみだトリフォニーホール:15時〜

  1. ハイドン交響曲第94番ト長調「驚愕」Hob.I-94
  2. ハイドン交響曲第98番変ロ長調Hob.I-98
  3. ハイドン交響曲第97番ハ長調Hob.I-97
  4. (アンコール)ハイドン交響曲第98番変ロ長調Hob.I-98よりフィナーレ

 ブリュッヘン+新日フィルのロンドン・セット第2日。1日目は諸般の事情で伺うこと適わず。3日目も行けないことが確定しております。
 オーケストラがノン・ビブラート奏法に熟達していないのか、若干ミスが散見されましたが、全体的には非常に面白く聴きました。ピリオド奏法のざらざらしたちょっと冷たいサウンドで、粘っこい表現をとるのが面白かったです。リズムも重め、テンポも取り立てて速くなく、荘重な音楽空間が現出していたように思います。一番のポイントは、これがハイドンであること。
 この作曲家の交響曲は、もっとユーモラスに鳴らされるもんじゃないかと思うんですが、終始真剣な演奏でした。音楽に特に前2曲は、壮麗な廃墟が眼前に立ち上がるような風情を見せていたように思います。この楽曲がどういう音楽なのか、その構造をじっと凝視するかのような演奏で、鬼気迫るものすら感じられ、ううむやはりブリュッヘンは怖い音楽家だなあと実感。バファリンの主成分(=優しさ)が全然なく、「暖色系」には完全に背を向けた、非常に厳しい音楽となっていました。だがそれがいい。月末も楽しみです。