不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

シカゴ交響楽団来日公演(東京2日目)

サントリーホール:19時〜

  1. ハイドン交響曲第101番ニ長調Hob.I:101《時計》
  2. ブルックナー交響曲第7番ホ長調

 どちらも他の日と同じく、真の意味で「何も足さない、何も引かない」大変に立派な演奏で堪能しました。情緒的な感動ないけれど、綺麗な造形とバランス(テンポ・サウンド両面)ですっきりと聴かせました。ただし、ブルックナーは実に素晴らしかったんですが、ハイドンはこのスタイルだと不満が残ったなあ。この作曲家にはある程度、音の愉悦が必要なのかも知れないと思いました。無色透明、濾過済みの蒸留水という感じで、見事なことは間違いないんですが……。ドレスデンの時は、オケが自発的にニュアンス付けて遊んでくれたんですけどね。ハイティンクだと、モーツァルトの方が芸風に合っているかも知れない。でもブルックナーは本当に満足。神秘的な要素は全然ないんですが、こういう健康的な演奏もいいじゃないか。管弦のバランスが素晴らしくて、どんなに金管がでかい音を出しても弦もしっかり付いていくし、いやあいいものを聴きました。ちなみにブルックナーはノヴァーク版でした。
 ところで、ハイティンクが指揮棒下ろしてないのに拍手を始めた1階席の一部の客ですが、氏ねとは言いません。死ね。
 さて今回初めて実演に接したシカゴ交響楽団ですが、ポカミスの数は、ベルリン・フィル・コンセルトヘボウ・バイエルン放送響・フィラデルフィア管辺りよりも多かったと思います。ただしアンサンブルの底力というか、余裕をもって伸び伸びやっている雰囲気がある割には出ている音が鮮烈なところは、さすがシカゴ交響楽団。このオケ意外と来日しないので、このタイミングで行けて幸いでした。