NHK交響楽団第1635回定期公演
NHKホール:15時〜
デュトワは細部までみっちり仕込んで来ており、どの曲でも一定の成果を収めていた。個人的には、クリアな見通しと細かいニュアンス把握が実現していた《夜想曲》が一番楽しめた。爽やかな情緒が流れたフランク、これまた爽快感に満ちていた《惑星》も評価したい。《惑星》はもっとコブシを利かせた演奏もありだろうが、ストレートな表現で純音楽的にまとめて来たのはデュトワの見識であろう。どの場面でどの楽器がどういう鳴り方をしているのかもはっきり打ち出されており、満足のいく指揮ぶりであったと思う。
ただし、昨今のN響のダメっぷりはデュトワの指揮をもってしても糊塗できない。木管はオーボエとクラリネットがどうにもシャキッとせず、その他の木管と弦も、一応ちゃんと鳴ってはいるのだが反応がやや鈍い。デュトワの指示には従っているので全体のフォルムはきっちりしているのだが、「音作り」だけではなく、音そのもので魅せてくれるシーンがあまりない。金管については、音をはずすトランペットとかにはもう今更何を言う気もないが、《惑星》で顕著だったように、全体的に明らかに非力。音に迫力がないのは何とかしてほしいものだ。
あと合唱団はもっと頑張らりましょう。声が揃っていなかったというか、ソリストの寄せ集めのような音を出していた。舞台裏に引っ込んでの《天王星》の方が良いように聴こえたというのは恥じて欲しい。