宇宙細胞/黒葉雅人
- 作者: 黒葉雅人
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2008/09/17
- メディア: 単行本
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いくら何でもこれはねーよ、と笑いたくなる馬鹿馬鹿しいネタが最後に炸裂する。アホらしくも壮大なヴィジョンには一見の価値があるだろう。しかし作者の小説作りがいかにも下手で、作品に致命傷を与えており、真っ当な評価を下すのは不可能に近い。張子のような人物造形、取ってつけたような人間ドラマなどはいただけない。ヒロイン(?)の能力がどう見てもミギーの左手版だったり、綾波嬢またはカヲル君よろしく「顔が雲の上に出る」など、ステキなシークエンスも多々あるのに、全てがいまいち活かされていないように思う。終盤で明かされるバカSFネタも、それまでのパニック小説・破滅SFとしての流れとほぼ切り離されたところで提示されるので、作品内での収まりもあまりよろしくない。さりとて、文章も弱いので力技で持って行くわけにも行かん。惜しい作品である。