ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(東京1日目)
サントリーホール:19時〜
- ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調op.88
- メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調op.90《イタリア》
- ラヴェル:ラ・ヴァルス
- (アンコール)ドヴォルザーク:スラブ舞曲第2集op,72-2
- (アンコール)ヨハン・シュトラウスⅡ世:ポルカ《ハンガリー万歳!》
- ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(管弦楽)
- マリス・ヤンソンス(指揮)
前半のドヴォルザークは本当に凄かった。豪壮華麗な演奏によって、起伏が非常に激しい曲想を燻りだしていたように思います。いやー堪能しました。細部で色々仕掛けてくるのも全然うざったくない。前半が終わったところなのに、この時点で既に演奏会が終わったような盛り上がり。ブラボーは少なかったですが、どうもスポンサー企業が招待券ばら撒いたような客層だったのでまあそれも仕方ないか。ただ皆さんマナーは良かったですよ。
というわけで後半も期待したのですが、私は《イタリア》で魔法が解けてしまいました。メンデルスゾーンはもっと何気ない風情とか、鞠のように弾むリズムと艶やかな音色でやって欲しい――というかもっと流麗にやって欲しかったわけですが、ヤンソンスは前半のドヴォルザーク同様、細部で局所的にこだわった音色を聴かせながら、豪壮華麗なスタンスを変えようとしませんでした。続く《ラ・ヴァルス》も、最初の霧の中で蠢くような部分をもでかい音で豪快に進めてしまい、正直ちょっと引いてしまいました。
アンコールでもそうだったんですが、木管が出す音が基本的にでかくて、デリケートなニュアンスが死んでしまった箇所が多かったような気がしないでもない。《イタリア》《ラ・ヴァルス》《ハンガリー万歳!》の最終和音が全部同じ(鋭いアクセントを付けて終わる)だったのもいかがなものか。ただしヤンソンスの名誉のために言っておくと、どんなに馬鹿でかい総奏でも、彼が際立たせたいパートはくっきり浮かび上がっていたのは凄いと思った。そのコントロール能力を細かいニュアンス付けに活用せず、豪奢なサウンド空間演出に使っているのがヤンソンス流なんじゃないかなあ、などと考えながら聴いていた次第です。でも「考えながら聴いている」時点で俺が心底楽しんでいないことは明白なわけで、色々と難しい。今日の後半以降が、残念ながら私の好みじゃなかったことだけは確かです。というか単に好みの問題というだけなんでしょうがね。
なお、珍しいことに一般参賀はなし。ここら辺に招待客の多さが表れているのか。