不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

児玉桃メシアン・プロジェクト2008 ピアノ・リサイタルⅠ

フィリアホール:14時〜

  1. メシアン:幼子イエスに注ぐ20のまなざし
  • 児玉桃(ピアノ)

 全曲演奏に正味2時間(休憩・拍手等も加味すると2時間半)かかる名曲の演奏会に行って参りました。弾くのは児玉桃。今年はオリヴィエ・メシアンの生誕100周年であり、代表作《トゥランガリーラ交響曲》を演奏するオケも複数ありましたが、私は都合つかず行けませんでした。もっとも、メシアン管弦楽以外にも素晴らしい曲をたくさん書いており、《幼子イエスに注ぐ20のまなざし》もその一つ。児玉桃はフランスで研鑽を積んだピアニストで、メシアン・プロジェクト2008を立ち上げ、9月にレクチャー・コンサート(茂木健一郎がゲストだった模様)、10月から12月にかけて、2回のピアノ・リサイタル、1回の連弾リサイタル(with姉の児玉麻里。ちなみに児玉麻里の旦那はケント・ナガノです。)、1回の室内楽演奏会(withカプソン兄弟等)を開催します。
 このピアニストですが、私は過去、ノリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団との共演でモーツァルトのピアノ協奏曲を弾いているのに接したことがあります。そっちでは綺麗だけどちょっとおとなしいピアニストだな、という印象を持ったのですが……。
 何のことはない。あの時はモーツァルトだから可愛く弾いたということのようです。今日の演奏は言うことありませんでした。きらびやか・剛毅・繊細いずれの要素も大量に抱え持ち、曲の構造もややこしく、当然テクニック・知性いずれも要求されるこの難曲を、一気に駆け抜けていました。素晴らしいメシアンでござった。寝る人が多くて、減衰していくピアノの音に乗せて、スースーカーカーという“音”が被ってくるのは勘弁して欲しかったですが、休日マチネーしかも私鉄沿線だからある程度は致し方ないかも。