不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

読売日響みなとみらいホリデー名曲コンサート

横浜みなとみらいホール:14時〜

  1. シューマン交響曲第2番ハ長調op.61
  2. R.シュトラウス交響詩ツァラトゥストラはかく語りき》op.30

 84歳の常任指揮者スクロヴァチェフスキによる、前半後半各30分強の短めのコンサートである。
 各パートをくっきり浮かび上がらせて、リズミカルに奏楽させる――こういったスクロヴァの芸風が炸裂、いい演奏会になった。特に前半のシューマンは絶品で、解像度の高さによってまるで初めて聴く曲であるかのよう聞こえて来るのだった。特に第3楽章とフィナーレ! 情感を故意に出そうとはしていないのに、楽想が変わると空気も変わるのは本当に素晴らしい。演奏が曲に信頼されているというか何というか……。オケにミスは散見されましたが、全体的に勢いがあるので全く気になりませんでした。元々馬力(だけ?)はあるオーケストラなので、迫力も十分以上。指揮者がサウンドの洪水で圧倒するタイプではなく、どちらかというと解体して内部構造を曝け出すタイプだけに、うまい具合に相互補完状態になっていたようにも思います。ひょっとするとスクロヴァチェフスキの加齢による掌握能力の低下ゆえ(=歳をとって丸くなった)かも知れませんが、結果が良ければ全て良しですよ。指揮者もオーケストラも満足気でした。それにしても足取りが少々怪しい辺り、スクロヴァチェフスキも歳をとりましたよね。いつまでもお元気でいて欲しいものです。