竜を駆る種族/ジャック・ヴァンス
- 作者: ジャックヴァンス,Jack Vance,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 文庫
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竜を品種ごとに「金剛」「阿修羅」「羅刹」などと訳しているのも素敵ならば、世を捨て洞窟で静かに暮らしている(とされる)「波羅門」一族の不思議な存在感と最後のあられもないブチ切れも大変に素敵である。エーリスが暗君丸出しで、その側近が徐々に明らかに疲れて来るのも面白い。そして、竜を駆る人vs人を駆る竜、という対比の妙はもちろん特筆すべきところである。長編としては非常に短い作品だが、とてもカッコいいガジェットに溢れており、ひょっとすると自分たちが宇宙最後の人類ではないかという終末的な雰囲気が作品の雰囲気を決定付けているように思う。SFとしては「科学」の要素が少ないタイプに属するので、未来社会の超科学を見たい人には向かないかも知れないが、手短にまとまっていて面白いのでおすすめしておきます。続編もなくあっさり終わるのも、この作品に関してはこれで正しいのだろう。