きみの血を/シオドア・スタージョン
- 作者: シオドアスタージョン,Theodore Sturgeon,山本光伸
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/01
- メディア: 文庫
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吸血鬼譚の現代社会風変奏曲である。ジョージ・スミスの数奇な人生を非常に淡々と(彼の外部の視点から)描き出すが、粗野で知能が低そうな行動をとる彼には、明らかに温かい視線が注がれている。はっきり言えばジョージは「キモい」奴であり、その不気味さは(はっきり明示されないものの)終盤で頂点を迎える。しかし、スタージョンは彼の異常性を拒まず、人間のあり得る一態様として受け容れ、主人公を調べる登場人物たちもジョージに特段怖気を振るわない。これはスタージョンを特徴付ける「優しさ」、即ちスタージョン印に他ならないのだ。この手の話を「優しさ」で包むことは、まさにスタージョンにしかできないことだとも思う。ファンは必読である。