清佑せいゆう、ただいま在庄/岩井三四二みよじ
- 作者: 岩井三四二
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
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村人と若い代官を中心として、この時代の村人の生活を描く連作短編集である。結構ミステリ仕立て*1で楽しく読んだ。キレの良いオチはもちろん、ちょっと緩いが密室やトリックも出て来るという華やかさ。小説として見ても、内容がヴァラエティーに富んでいるのは嬉しい。裁判もあれば語り主体で済ますものもある。合戦やばくち、雨乞いなどもあり、登場人物描写も簡素ながらなかなか魅力的だ。逆巻庄が鮮やかに見えて来る錯覚にすら陥る、大変素晴らしい作品集である。
所収13編中、書き下ろし3編が全くの非ミステリであったりするし、帯にもミステリのミの字もない。恐らく作者は本書をミステリとしては読んで欲しくないのだろう。しかしミステリ読者にも、歴史小説への架け橋としての含意も持たせつつ、おすすめしたい一冊だ。