チューリヒ歌劇場
- ヴェルディ:歌劇《椿姫》
ウェルザー=メストの気品ある折目正しい指揮のもと、エヴァ・メイとレオ・ヌッチが本領を発揮。特に後者は素晴らしいとしか言いようがない。残酷なことをヴィオレッタにしつつ、彼女に感心し最終的には恋人を引き裂いたことを後悔するに至る演技も完璧。何だこの人。エヴァ・メイも前評判どおりの出来で、美声もさることながら、役柄の心理状態に合った演唱を疲労していた。
ウェルザー=メストは変なこと何もしないし、むろん熱入るときは入るけど、常に一歩下がって音楽を冷静にキャリーしようとする。学者っぽい/紳士っぽい/貴族っぽい、いずれも何か違うなあ……。曲を本当に理解していないとできない演奏なのは確か。素晴らしい。オケの音がそれなりにでかいのも面白い。