不壊の槍は折られましたが、何か?

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敵は海賊・正義の眼/神林長平

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 海賊たちを問答無用で殺戮しまわる者が現れた。ラテル・アプロ・ラジェンドラに加え、前作に引き続きセレスタンも共同で捜査を開始する。全体的なノリは前作に比べ若干シリアスとなった。
 海賊および海賊課は、それ以外のものとは本質的に異なった存在として描かれている。その点、本作はシリーズの世界観を再確認するものいえよう。また《一見文句を言えない正義》の風刺と読み解くこともでき、シリーズと切り離して捉えた場合も興味深いテーマが追求されている。とはいえ海賊課側レギュラー陣の会話は相変わらず笑えるもので、言霊が物理的に炸裂するような展開も健在であり、シリーズのファンは問題なく楽しめるはずだ。10年ぶりのシリーズ再会を寿ぎたい。