アキレス将軍暗殺事件/ボリス・アクーニン
- 作者: ボリスアクーニン,沼野恭子,毛利公美
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/02/27
- メディア: 単行本
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前作『リヴァイアサン号殺人事件』は本格ミステリとしても読めたが、今回は様相が全く異なる。日本から帰国したファンドーリンは、日本人小姓を連れ帰っているのだが、この二人が派手に立ち回ってくれる。ファンドーリンはどうやら忍術の修行をしていた模様で、手裏剣飛ばして(!)ギャングに立ち向かう。なかなか愉快だ。そしてあれよあれよという間に、ファンドーリンは凄腕の殺し屋と対決する羽目に陥る。冷静になって考えてみるとかなりアホアホだが、躍動感に富んだストーリー展開、張り巡らされた陰謀などなどで読者を一気に押し切るため、あまり気にならない。というかうまい! うま過ぎですよアクーニン! 人間ドラマも意外に掘り下げられ、通り一遍の人物描写に終わらないのも素晴らしい。今回は全体的に、そこはかとなく山田風太郎を想起させられたが、作品ごとに全然違う顔を見せてくれるこのシリーズ、今後も定期的な訳出を望む。