少年探偵ロビンの冒険/F・W・クロフツ
少年探偵ロビンの冒険 (論創海外ミステリ―ヴィンテージ・ジュヴナイル)
- 作者: フリーマン・ウィルスクロフツ,Freeman Wills Crofts,井伊順彦
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本
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まず挿絵が素晴らしい。川下りですらジャケット&ネクタイでこなす少年たちに大いに笑わせてもらう。筆致が真面目であることもあり、いつ何時でも紳士たる子供たちが妙な可笑しさを感じさせる。他にも、ロビンは途中で一度、フレンチ警部に事件の相談をするのだが、あのフレンチ警部の活躍を本で読み、ファンであることを告白するなど、普通の少年探偵とは一味違う渋いところを見せる(ここでメタ視点から「クロフツは自作の宣伝をしている」などと言うのは野暮だ)。
犯人が単なるアホであることも興味深く、誘拐を仕出かして余計に泥沼に嵌っている辺り、実に無茶であり、本作がジュブナイルであることを感じさせる。
とはいえ、全体的には至って堅実な作品であり、地に足の付いた落ち着いた良作といえるだろう。
なお、霞流一の解説は、クロフツの全体像の中で本作の位置付けを探るもので、なかなかに興味深い。