不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

一九五○年の殺人/海野十三

海野十三全集 (第5巻) 浮かぶ飛行島

海野十三全集 (第5巻) 浮かぶ飛行島

 内容は題名のとおり。ただしSF。よって、実際の1950年とはかけ離れた未来像を描いている(本短編の発表は1935年頃らしい)。
 地の文は極めて少なく、殺人事件の関係者と警察官のやり取りが丁々発止3ページ続く。「原稿の頁が無いのだ、早く云え」という台詞が開始早々出て来るように、基本的にコメディタッチであり、明るい未来も暗い未来も特に提示せず、単に「1935年にはあり得ない事象」を愉快に描いただけの作品だ。バカバカしくて面白かったです。