不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

キララ、探偵す。/竹本健治

キララ、探偵す。

キララ、探偵す。

 メイドロボ(兼セクサロイド)に、日中は傅かれる一方、夜は跪かされる非モテ男を語り手に据え、そのロボットの周りで起きる騒動とその解決を描く。4編収録。
 竹本健治が書いたメイド本格ミステリ、というのが第一の売りであり、かつもちろん特徴である。その他各種キャラも立っており、気軽かつ気楽に読めるのがまずは良い。コメディタッチで愉快かつ綺麗にまとめられていて、普通に面白いと言えるだろう。本格ミステリとしての質も低くないし、探偵役がロボットなので記憶力も良く力も強い、更にはワトソンに基本献身的であるなど、名探偵論の上では興味深いことを色々やっている。
 尖った所はないし、微温的な面も否定できないが、安定した文章と構成はさすがであり、まずは楽しめる一冊だ。