宇宙の迷子／海野十三

海野十三全集 第11巻 四次元漂流

　1970年代は宇宙探検が流行していた！という今から思えば色々と無茶な設定下、2ヶ月の夏休みを利用して、2人の少年が月を目指して飛び立つ。しかし色々あって月には行けず、代わりに小惑星へ着陸してしまう……。
　少年向けの小説。ロケットでの旅程、小惑星の小重力などについて、なかなかリアルかつ懇切に描出されている。ところが、2少年は大爆発にも耐え抜く頑健さを備えており、海野十三におけるリアリズムの如何がよくわからなくなってくる。割と唐突かつ衝撃的な大団円を含め、全体的には他愛ない作品といえるだろう。