月光/誉田哲也
- 作者: 誉田哲也
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2006/11
- メディア: 単行本
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この作家を読むのは初めてである。評判や『月光』の表紙から、勝手に作風をイメージしていたのだが、まさか、非18禁小説で、そういった意味合いでの「便器」という単語を目にしようとは……。しかし、他の要素は至極真っ当だ。涼子を三視点から語ることは、死した少女を描出するうえで効果を挙げている。その他の人物描写も過不足がない。文章が平易であることもあって、基本的にはさらりと読める上出来のサスペンスと言えるだろう。他の作品もいずれチェックしたい。
以下余談。結花がピアノの天才という設定は、蛇足ではなかったか。この設定は、ストーリーやテーマ上、必然性が弱い(ピアノが弾ける、程度で代替可能だったはずだし、その方が収まりは良かった)。また、「規格外」のようなキャラ設定は、物語中ここだけなので、バランス的にどうかとも思う。また現実的にも、「ピアノの天才」レベルの人の場合、特にこの時期は、数ヶ月楽器から離れると回復はなかなか難しいわけで……。瑕疵というほどのこともないのだが、まあ音楽ネタだからちょっと絡んでみました。申し訳ない。