火薬船/海野十三
- 作者: 海野十三
- 出版社/メーカー: 三一書房
- 発売日: 1998/06
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (8件) を見る
物語は正直中だるみ。大体《平靖号》の所期の目的が明示されないまま終わってしまうので、据わりの悪いこと夥しい。全集でなければ読む価値はない作品といえよう。
なお、作品の質云々とは全く関係ないが、「火薬船」は明らかに戦意高揚のために書かれた小説で、少年向けにこのようなことが大っぴらに書かれる世相には背筋が寒くなる思いだ。何が怖いといって、日本への自画自賛のベタ誉めもさることながら、外国人(主に西洋人)を憎々しげに描くことで、敵愾心を煽り立てる点が怖い。