不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

魔球/東野圭吾

魔球 (講談社文庫)

魔球 (講談社文庫)

 春の選抜高校野球大会、開陽高校のエース須田武志は、ここ一番の勝負時に《魔球》を投げた!?……大会後間もなく、捕手北岡明は、愛犬と共に刺殺体で発見される。事件は野球部、そして高校に不穏な空気をもたらすのだった。
 高校野球を舞台として、苦い青春ドラマを展開する作品。傍らでは教師と刑事もドラマやってます。基本的にはスマートかつ痛ましい物語で、ミステリとしてもシンプルだが鋭く、なかなか面白い。感傷に媚びを売らないのも東野圭吾らしくて微笑ましい。例によって読みやすいのも素晴らしく、東野としても傑作の部類に入る作品だろう。広くお薦めしたい作品である。