不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ルツェルン祝祭管弦楽団

  1. モーツァルト:コンサート・アリア《わが愛しの希望よ!》K.416
  2. モーツァルト:コンサート・アリア《ああ、できるならあなたにご説明したいものです》K.418
  3. モーツァルト:コンサート・アリア《わが感謝をお受け下さい、やさしき保護者よ》K.383
  4. マーラー交響曲第6番イ短調

 超豪華メンバーで構成されるオケの、腕が立ち、しかし独自色は薄いという特色を存分に活かした演奏。それは前半のモーツァルトからはっきり打ち出されており、特に色を付けず、奇も衒わず、厳し過ぎもせず、ただ丹念・実直にスムーズな奏楽を心がける。リズムが生きているのも素晴らしい。
 ハルニッシュの歌唱はまあまあ。声質は良いのだが、多少かすれる箇所もあるなど、絶好調というわけではなかったように思うし、歌い口も改善の余地あり。
 後半のマーラーには言うことなし! パースペクティヴがすんごいことになっていて、単純化・低次元化は全くおこなっていないのに、この長大な曲が非常にわかりやすい音楽として提示されていた。また、第2楽章*1やフィナーレのコーダを中心に、節度ある哀愁・虚無感を漂わせるのも絶妙であった。音が鳴り終わっても40秒ほど、ピンと張り詰めた静寂が続いたのも良かったと思う。至純のひとときであった。
 あと、外来オケを聴く度に思うのだが、リズムに乗って浮き立つような感覚を、日本のオーケストラは全然出してくれない。この差が埋まらないと、外来オケには勝てないよなあ……。

*1:第2楽章アダージョ→第3楽章スケルツォの順番に演奏していた。最近はこういうの増えてますね。