屍衣の流行/マージェリー・アリンガム
- 作者: マージェリー・アリンガム,小林晋
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 単行本
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服飾業界周辺の上流社会で巻き起こる、ひょっとすると殺人事件かもしれない《人死に》スキャンダル……というわけで、これはもう完全に古式床しい英国クラシック・ミステリの味わい。アリンガムの筆は非常に丹念であり、社交の雰囲気を鮮やかに立ち上げている。さらに、キャンピオンとヴァル・フェリス兄妹の、それぞれの恋愛模様にやきもきできるなど、恋愛小説としても読み込むことが可能だ。古典好きは以上2つの特徴だけで楽しむことができようが、『屍衣の流行』は、ミステリとしてのネタも、小林晋が解説で語るとおり、なかなか興味深い。
しかしまず何よりも、格調の高さを終始崩さないのは素晴らしい。登場人物の描き分けも万全である。クラシック好きにはたまらない作品といえるだろう。読み飛ばしてしまうと魅力半減もいいところなので、じっくり読み進めることをお勧めしたい。あーでも偏執的な女権伸張論者は読んじゃいけないかも。