2006-10-13 火葬国風景/海野十三 小説 海野十三全集3作者: 海野十三出版社/メーカー: 三一書房発売日: 1988/06/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (8件) を見る 春に妻を亡くした探偵小説作家の甲野八十助は、路上でもう死んだはずの友人・鼠谷に出会う(もっとも出会い頭ではそれに気付かず、「やあ」などと言ってすれ違ってしまうのだが)。亡霊に出会ったのかと怖気づいて酒場で一杯やった後、甲野はまたもや路上で鼠谷に声を掛けられ、バーに連れて行かれる。そして驚くべき大秘密が……。 いかに夢とはいえ、火葬炉の仕掛けに関連した、可愛い金魚と金魚鉢の夢がバカバカしく、素晴らしい。最終章で唐突に甲野が正義漢になり、それまで幻想的に、重々しく進んでいた物語とは明らかにバランスがおかしいラストが来るのも、非常に楽しく読みました。一気に軽く読み流せる良い話といえるだろう。