不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

人間灰/海野十三

海野十三全集3

海野十三全集3

 赤沢博士の経営する空気工場では、次々人が失踪するという怪異が起きていた。そして遂に赤沢夫人が失踪し、湖畔の近くでは全身血まみれの怪しい男が捕縛されるのだった……!
 科学知識をネタとして大いに活用したミステリ。警察署の取調室に平気で盗聴器仕掛ける新聞社社長(しかも署長と不倶戴天の敵)とか、事件の本筋とは関係ないところで設けられた狂った人物造形も光る。特に何も考えずに気楽に、しかし滅法楽しく読める作品として大いにお薦めしたい。