負け犬/マイクル・Z・リューイン
- 作者: マイクル・Z.リューイン,Michael Z. Lewin,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/09/01
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (1件) を見る
ジャン・モロの人物造形がまずは印象的である。教養などないものの、ヒューマニズムに溢れていて、彼による一人称の語り口が、作品の雰囲気を決定付けている。原文では、教養がないという設定を活かし、文法も故意に乱した模様で、訳者は大変であった旨告白している。そこまで凝るかとも思うが、それほど、主人公のキャラクターは作品において重要な役割を果たしており、作者もそれを自覚していたということだ。謎や解決の繰り出し方が、いい具合にオフビートで、ミステリとしての構成はうまい。というわけで、これまた広くお薦めできる作品だ。
なお明らかにできない理由から、リューインのファンは絶対必読の書である。ノン・シリーズだしいいや、とネグっていると後で痛い目を見るはず。