不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

ストームブリンガー/マイクル・ムアコック

ストームブリンガー―永遠の戦士エルリック〈4〉 (ハヤカワ文庫SF)

ストームブリンガー―永遠の戦士エルリック〈4〉 (ハヤカワ文庫SF)

 一応の完結編。短編「魂の盗人」「闇の三王」「忘れられた夢の隊商」、そして長編『ストームブリンガー』が収められている。エルリックは本冊において、結婚し、妻を攫われ、この次元における《法》と《混沌》の決戦に巻き込まれる。
 前半の短編3つはサーガにおける小挿話であり、重く考えずに冒険を楽しんでおけば良い。そして『ストームブリンガー』で、遂にサーガ全体のクライマックスを迎える。いつもだったら叙事詩的な情感が横溢するところ、今回は意外にあっさりしているように思うのは、《混沌》が遂に世界に炸裂し、作品内において、出来事のスケールと言語表現の大袈裟さが遂にバランスしたからであろう。引き込まれてサクサク読めたのもありがたい。
 というわけで、お薦めである。続刊も付き合いますよ。