不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

内田光子

  1. モーツァルト:幻想曲ハ短調K.475
  2. モーツァルトソナタハ短調K.457
  3. モーツァルトアダージョロ短調K.
  4. モーツァルトソナタヘ長調K.533+499
  5. モーツァルトソナタニ長調K.576
  6. (アンコール)モーツァルトソナタハ長調K.330より第2楽章
  7. (アンコール)モーツァルトソナタハ長調K.545より第2楽章

 前半は短調系、後半は長調系の(アンコールのK.330を除き)ウィーン時代の作品を集めた一夜。ちなみに後半は皇后陛下の御臨席を賜りました。陛下の方に向かって特に礼をするといったステージ・マナーをとるのが興味深かったです(他に皇族が来たコンサートでは、正面に座られることが多かったためか、特段このような仕草は見たことなし)。
 演奏は非常に素晴らしいもの。弱音を含めタッチが非常に柔らかく繊細で、長調系の作品でも、常に憂いを含んでいる。ややもすると深刻で沈み込むような情感を出し、華やいだ雅な雰囲気は微弱。モーツァルトは明るくてシンプルな、わかりやすい作曲家である、などと言う人は少なくないが、こういう演奏を聴けば、モーツァルトの業の深さを垣間見れるんじゃないかと思った。
 携帯鳴らした馬鹿が複数いたのは残念。死ぬべきだと思った。……サントリーホールも、電波遮断の詰めが甘いですな。ただ、陛下がいらっしゃった後半にそういうことがなかったのは、毎度のことながらやはり凄いなあと思った。皇族がいらっしゃると客が締まるので、私は天皇制維持論者です。これからもドシドシお越しになってください。