殺人はリビエラで/トニー・ケンリック
- 作者: トニー・ケンリック,上田公子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1976/11
- メディア: 文庫
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プロットがやや雑然としているし、個別のギャグもいまいちキレがない。ヒロイン像が作中で終始ふらつく(これはプロット迷走のためでもある)のと、主役コンビが、コンビとしてはともかく各個人として然程キャラ立ちしていないのも、この作品の弱点だろう。ただ、ドタバタ系コントのような、奇妙で笑える状況が続出するのはなかなか面白い。クマー!とか普通にあり得なくて笑った。真相も割とオカシイ。
というわけで、基本的には愉快に読めるユーモア・サスペンスの佳作である。デビュー作ということで興味深くもあり、個人的には好きだ。しかし、トニー・ケンリック初体験がこれだと、ちょっと厳しいかも知れない。ケンリックのほかの作品を読んで気に入った人が、作家の原点として振り返るべき作品か。