消えた女/マイクル・Z・リューイン
- 作者: マイクル・Z・リューイン,石田善彦
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1994/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (6件) を見る
色男コナーと、彼を中心とした複雑な人間関係がナッシュヴィルに張り巡らされる。これがアルバート・サムスンの減らず口に彩られ、ゆっくりと姿を現してゆくのが魅力的。この過程と最終的に現れる複雑な相関図は、相変らずミステリ的に手が込んでいる。登場人物の描出もまた、非常に見事におこなわれており言うことはない。瀬戸川猛資が解説で、リューインの筆致は明るいゆえ、ロスマク風の悲劇的な物語を書く必要はなく、さほど感心しないなどと、珍しく妄言をほざいているのは興味深い。
というわけで、引き続き広くお薦めしたい一冊となっている。水準がシリーズ第5作に至るも全く落ちないのは驚異的だ。
*1:テネシー州の州都ではなく、インディアナ州ブラウン郡の郡庁所在地。