無頼の掟/ジェイムズ・カルロス・ブレイク
- 作者: ジェイムズ・カルロス・ブレイク,加賀山卓朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/01
- メディア: 文庫
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最高の青春ギャング小説。血沸き肉踊るストーリーと粋がったユーモアがテンポ良く繰り出される。ソニーの一人称もいい感じで饒舌で、自分や叔父の来歴を語る回想シーンも鮮やかで、主要登場人物の性格を決定付ける効果をめざましく発揮する。そして彼の脱獄成功は、ここまででも十分面白いにもかかわらず、後になって振り返れば、物語が本格的に走り始める準備が整ったことしか意味しない。その後の展開は本当に素晴らしい。全体のペース配分も絶妙で、特に400ページを越えて以降の展開と語りは凄まじい。ファム・ファタルの登場と彼女との関係性もまた、非常に印象的である。
ここにあるのは、苛烈ではっちゃけたソニーと叔父たちの人生そのものであり、最近はノワールとやらに包含されて各所で誤解される犯罪小説・ギャング小説・ピカレスク小説の、繰り返すが最高の姿の一つである。悪逆のカッコ良さというものを、これを読んで知るが良い。超お薦め。……清純派読者には難しいかもしれませんが。