今宵、銀河を杯にして/神林長平
- 作者: 神林長平
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1995/07/01
- メディア: 文庫
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事実上の連作短編集。アムジ・ミンゴ・カレブの三人組が織り成す、奇妙な連帯と親睦が楽しい。そこに、微妙だが一応搭載されているマヘルの人工知能が絡む。そして惑星ドーピアには、アンドロイドが独自の都市とちょっとした政府(一応地球文明側だが)を打ち立て、昔のコンピューターが野生化していたりするのだ。ここに、神林お得意の機械知性を展開・発展させる、豊穣な土壌がある。バシアン文明や機械とのコミュニケーションとは、いやそもそも《意識》とは何か、といったテーマがじわじわと効いてくる様は、なかなか魅力的だ。
軽く柔らかい『戦闘妖精・雪風』といった感なきにしも非ずだが、だからこそ出る味わいもある。これはこれで佳品だと思う。