新日本フィルハーモニー交響楽団
- アラベラ・美歩・シュタインバッハー(ヴァイオリン)
- クリスティアン・アルミンク(指揮)
新日本フィルは結構ノーブルな響きを持っていると思うが、アルミンクが指揮するとき、それは倍加する。素直でのびやかなサウンドは、聴いていて心地よい。しかし、それだけという観がなきにしも非ずなのは今後の課題だと思われる。今日は《売られた花嫁》序曲にそれが顕著だった。やはりもっとアンサンブルの精度を上げないと、この手の高速楽曲で私のようなキモヲタを感心させることは難しいように思う。
一方、ブラームスの交響曲では、ノーブルで素直な演奏を基本としつつ、一部でテンポやリズムを揺らして、変な効果を狙ったのでは、という部分が散見された。しかし、そういうことやるにはテンションが低目というか、単に変なことを一瞬やっただけでストスト過ぎ去ってしまうような感覚を覚えた。指揮者の習熟の問題なのか、楽団の性質上の問題なのか判断は難しいが、オケの機能性ゆえに指揮者の要求が十全に実現されていないような場面も散見され、正直、若干不満な演奏だった。
協奏曲でのシュタインバッハーは、表現意欲に溢れていてgood。荒削り気味ではあるが、美しく響かせたい箇所では、特に変な音を出さないので非常に好印象でさえある。ただ、このソリスト、もっと晴れがましい協奏曲で聴きたいです。ブラームスは、難曲の割にソリストの存在感薄いからなあ。