エフゲニー・キーシン
細部への必要な十分な目配り、適度な繊細さ、そして曲趣に沿った適切な情感を持つ解釈をベースに、豪壮華麗にピアノを鳴らしてゆくという芸風。若干ミスタッチが聴かれたが、ほとんど気にならない。やはり打鍵が素晴らしく、音自体でご飯三杯は行けるからであろう。リズム感もただただ素晴らしい。ある意味理想のピアノかも知れない。
……ただ、特に根拠はないのだが、この人は調子良ければもっと凄いかも知れない、なんてことを思った。あと、34歳のむくつけきオッサンの来日に、ママと82歳の先生(女性)が未だに付いて来るというのはどうなんだという気がしないでもない。