不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

エフゲニー・キーシン

  1. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3番ハ長調Op.2-3
  2. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調Op.81a《告別》
  3. ショパンスケルツォ第1番ロ短調Op.20
  4. ショパンスケルツォ第2番変ロ短調Op.31
  5. ショパンスケルツォ第3番嬰ハ短調Op.39
  6. ショパンスケルツォ第4番ホ長調Op.54
  7. (アンコール)シマノフスキエチュード変ロ短調
  8. (アンコール)ショパンエチュード嬰ハ短調Op.10-4
  9. (アンコール)リスト:ハンガリー狂詩曲第10番
  10. (アンコール)ショパン:ワルツ第7番Op.64-2
  11. (アンコール)ショパン:ワルツ第6番Op.64-1《子犬のワルツ》

 細部への必要な十分な目配り、適度な繊細さ、そして曲趣に沿った適切な情感を持つ解釈をベースに、豪壮華麗にピアノを鳴らしてゆくという芸風。若干ミスタッチが聴かれたが、ほとんど気にならない。やはり打鍵が素晴らしく、音自体でご飯三杯は行けるからであろう。リズム感もただただ素晴らしい。ある意味理想のピアノかも知れない。
 ……ただ、特に根拠はないのだが、この人は調子良ければもっと凄いかも知れない、なんてことを思った。あと、34歳のむくつけきオッサンの来日に、ママと82歳の先生(女性)が未だに付いて来るというのはどうなんだという気がしないでもない。