アインシュタイン交叉点/サミュエル・R・ディレイニー
- 作者: サミュエル・R.ディレイニー,Samuel R. Delany,伊藤典夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1996/06/01
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 31回
- この商品を含むブログ (38件) を見る
グルーヴ感が実に素晴らしい作品。そして大量のメタファーらしき事柄と、シンボルらしき事柄。登場人物たちが人間ではなく、人類文明の衣鉢を継ぎつつも、どこか違っていて謎、という感覚が非常によく出ている。合間に挟まれる、本作を書いている際のディレイニー自身の日記的随想と思われる部分もいとをかし。構造的にも主題設定的にも、実に重層的な作品であると言えるだろう。
というわけで、深読みすればいくらでもできそうだが、過度に能動的な深読みは、作者がやりもしなかったことまで幻視する危険性がある。というわけで、私自身はただただテキストに淫した。自分のスペックの低さが恨めしい。
とはいえ、非常な傑作であり、素晴らしい作家であることは間違いない。手に入りやすい内にゲットしておくべき作品である。