不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

読売日本交響楽団

  1. ショスタコーヴィチ交響曲第9番変ホ長調Op.70
  2. チャイコフスキー交響曲第6番《悲愴》ロ短調Op.74
  • マンフレッド・ホーネック(指揮)

 両曲とも求心力に満ちた演奏で、良かった。特に後半のチャイコフスキーには感心したが、これは超有名曲・人気曲でありオケが慣れている、また指揮者も後半は暗譜だったことを考えると、手の内によりよく入っていたということかもしれない。緩急が自在に付けられており、基本的に溌剌としてはいるのだが、メロディーを歌いたいときは思い切ってテンポを落としたり、また弱音を強調したりと、細部では色々やる。しかし全体の流れには自然にはまり込んでいるという感じ。芸風的には、カルロス・クライバーと軌を一にする部分がなしとはしない。この指揮者なら、曲は何でもいいというか、本人がどの程度手の内に入れてるか、という問題だけだと思う。
 オケは、馬力あるしやる気もあるんだけど、ちょっとパラパラ不揃いの部分が散見された。もちろん、合うことだけを気にした演奏よりはマシだが、この指揮者、もっとランクが上のオケで聴いてみたいなあ。