不壊の槍は折られましたが、何か?

ミステリ書評家のブログのはずだが……。

NHK交響楽団

  1. モーツァルト交響曲第34番ハ長調K.338
  2. モーツァルト:ミサ曲ハ短調K.427

 前半の交響曲は普通によくまとまっていたと思う。NHK交響楽団が非常に締まった音を出していて感心。特に弦は頑張っていました。ブロムシュテットはリズム面で、時折気合を入れるようにカクカクと動いていました。とはいえ遊ばず謹厳実直だったので、チャームには欠けている感じ。ヴィブラートを極力排して古楽奏法も視野に入れた奏楽は、流石ブロムシュテットである。
 そして後半は大満足。前奏・間奏に微細なニュアンスを込めるオーケストラ。幸田浩子のよく伸びる美声も素晴らしかった(ちょっと低音部歌いづらそうだったが)。テノールバリトンもなかなか聞かせました。半田は頑張っていたが色々と付いて行けてない感じで残念。とはいえ怒り出すほどの低水準でもなく、まあ中にはこういうソリストがいても仕方ないかと。合唱団は、まあ素晴らしい出来でもないが、武蔵野音大よりはマシだったように思います。音楽破壊していたわけでもなく、ブロムシュテットの(恐らくだが)微に入り細を穿つ指示に懸命に応えていたので良しとしましょう。
 そして全てを統べるブロムシュテットは、本当に見事でした。短調の大曲、しかも宗教曲ということもあって、ピンと筋の通ったノーブルにして敬虔な雰囲気が如実に感じられました。そして声の活かし方とか、本当にうまいですなぁ……。NHK交響楽団内では今インフルエンザが流行っているそうですが、感染されないよう、くれぐれも気を付けていただきたいと思いました。かなり元気そうだったが、当年79歳、油断できない。