劫火/西村健
- 作者: 西村健
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/12
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- 作者: 西村健
- 出版社/メーカー: 講談社
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そして、上記のほとんどが、何とプロローグの紹介に過ぎないのである。本編はテンションがクライマックスまで全然下がらない。それどころか上がる一方。ちなみに上巻で660ページ、下巻で760ページあります。つまり、合計1400ページ以上、常にテンションが高いどころか、等比級数状に上昇するという神業を見せる。しかも、『ビンゴ』のオダケン*1、『脱出GETAWAY』の志波銀次*2、『突破BREAK』の大文字一徹*3が揃い踏み! 要するに完全なお祭り状態。壮大な大法螺を吹く傾向がある西村健においてさえ、目を瞠る水準だ。
とにかく凄まじいまでのスケールとテンションである。しかしここで重要となるのは、西村健=ネアカ、ということだ。絶対に暗くならず、日本や日本人に対する問い掛け成分はふんだんに含みつつ、あくまでもエンタメ、それも飛び切りおバカなエンタメに徹する。もちろん相応に人死には出るが、さらりと感傷的な雰囲気が流れる程度に留まる。物語はあくまでもハイに! おバカに! そして陽気に! 敵は悪辣、黒幕はもちろん邪悪に全てを手繰り、そしてバトルの相手は超強敵! 要するに、ノリは完全に週刊少年ジャンプのバトル漫画。西村健に比べれば『ナヴァロンの要塞』『高い砦』『ホワイトアウト』『亡国のイージス』でさえ根暗であり、大人っぽく取り澄ましていると思われる。もっと楽しくはっちゃけようぜ!とばかりに、広げられた大風呂敷はこれまた壮大に畳まれ、お祭り騒ぎは終始貫徹、それどころか最初の高いテンションがどんどん高まってゆく。もう最高。五年待った甲斐、ここにあり。
文章が若干もたつくというか、テンションの高さに伴って非常に暑苦しいので、そこをどう評価するかの問題はある。しかし個人的にはこの頭悪そうな(というか感情が噴出している)文章は大好きなのだ。正直、全編これネタ。しかしそれがどうした。無茶苦茶楽しいじゃないか。祭りだワッショイ、何が悪い。この手の話が好きな人には必読……だが、とりあえず『ビンゴ』から読むのがベストか。西村健ファン? え、これ読まないで西村健ファンのつもりですか。